Will Can Mustとは?フレームワークを活用するメリットやシートの書き方を解説

Will Can Mustって聞いたことがあるけど、何のこと?って思っている人、多いのではないでしょうか?今回はそれぞれの言葉の説明を行った上で、Will Can Mustの進め方や行うことのメリットを解説します。


この文章を読み終わったころには、自分自身のキャリアの考え方や、人事担当の方であれば従業員へ自信をもって説明できるようになることでしょう。

Will Can Mustとは

ここではWill Can Mustそれぞれの要素について解説します。Will Can Mustとはモチベーションを維持して成果を出すためのフレームワークです。目標設定や個人のやりがいを見つけるという観点からもWill Can Mustのフレームワークはとても有効です。

  • Willとは
  • Canとは
  • Mustとは

それぞれ詳しく見ていきましょう。

Willとは

やりたいことやこうなりたいという希望が「Will」です。「Will」が明確になっていると、働く目的も明確になり、困難な時や迷った時などにも頑張ることができます。逆に欠けていたり、明確でないとモチベーションの低下に繋がります。

たとえばWillには3年以内にマネージャーになりたい、年収1,000万円稼ぎたい、誰かの役に立ちたい、など色々なものが考えられます。逆にやりたくないことを考えてみることも、やりたいことの明確化に繋がります。

Canとは

できることや強みが「Can」です。たとえばあるプログラミング言語が得意、税理士の資格があるから税務に強い、人の話を聞くのが得意など、実務的な能力や資格だけでなく、内面的な強味もCanになりえます。

Canを考えることは、自分のできることとやっていることのバランスを把握する点でも大切です。できることとやっていることが釣り合っていないと、思ったような成果も出せず評価もされない状況となり、大きなストレスを抱え込むことになります

Mustとは

WillとCanは自分自身の話ですが、Mustは周囲から求められているものを考えるという点で視点が異なります。使命、役割と言い換えるとわかりやすいです。

たとえばMustには、事務処理を的確にかつ期限までにきちんと終えて欲しい、チームの中でリーダーシップを発揮して欲しい、何が何でも売り上げ目標を達成して欲しい、など明確なものもあればそうでない抽象的なものもあるでしょう。自分がやりたいことと周囲の期待がずれていないか確認することは、本人のキャリアプランを考える上でも重要です。

Will Can Mustのフレームワークで何ができるのか

ここではこのフレームワークでできることについて解説します。

  • 自己分析ができる
  • 目標設定ができる
  • 目標管理ができる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自己分析ができる

Will Can Mustのフレームワークを使うことで、より実践的な自己分析ができます。3つの視点から分析を行うことで一つの視点に偏らず多面的に分析ができるからです。たとえばWill、すなわち自分の希望だけで自己分析を行ってしまうと、独りよがりな分析になりがちです

Willだけで進めるとできないことや期待されていないことを進めてしまうことになり、うまくいかなかったり、うまくいったとしても評価をされない可能性があります。
Canだけで進めるとやりたくないことや周囲から期待されていないことを進めてしまうことになり、モチベーションダウンや周囲の評価を得られない可能性があります。
Mustだけで進めるとやりたくないことやできないことをやることになるため、モチベーションダウンに繋がる可能性があります。

できることや求められていることも同時に考えることでより客観的な分析ができるようになります。

目標設定ができる

Will Can Mustを考えるだけで頭の中の整理ができ、何をすべきかを具体的に決めることができます。目先の目標だけを考えるとその時々で軸がぶれてしまうため、中長期的な視点で考えることが大切です。

目標設定は日常業務の中で行うことが多いかと思いますが、就職や転職のタイミングで行うケースもあるかと思います。そういうケースでは3つの要素すべてにおいて今までのものとは大きく変わる可能性が高いです。その場合でもWill Can Mustのフレームワークを使うことで選択の基準が明確になり、適切な決断ができるようになります。

目標管理ができる

Will Can Mustのフレームワークがあれば、目標を定期的に振り返り調整ができる点が魅力です。

目標はたてて終わりではなく、定期的に振り返ったり、場合によっては軌道修正も必要です。フレームワークを利用することで振り返ることができますが、振り返った内容を上司や同僚などと共有することで客観的に振り返ることができたり、自分では気づかなかった視点を得られてより解像度の高い振り返りができます。

Will Can Mustシートの作り方

ここでは実際に作る場合の手順について、IT企業の営業部で働く30代前半の田中さん(仮名)を例に取り上げて考えてみます。作る場合のコツは下記の3つです

  • Will:できるかどうか関係なく自分のやりたいことを意識する
  • Can:見つける時は過去の経験を振り返ると発見がある
  • Must:自分だけでなく、同僚や上司の意見を取り入れる

いずれの項目においても、具体的に考えることで行動に結び付きやすくなり、振り返りの際にも有効活用できます。

Will:できるかどうか関係なく自分のやりたいことを意識する

田中さんは新しいことや流行りものが大好きです。以前は服飾業界で営業をやっていたのですが、新しいものが好きでIT企業に転職しました。将来は自分の会社を立ち上げたいと思っていて、今の会社ではそのための人脈作りや営業力を付けるためにがむしゃらに働きたいと考えています。この場合は、Willの欄に「人脈作り、営業力強化、将来会社を立ち上げる」と記載することになります。

Can:見つける時は過去の経験を振り返ると発見がある

田中さんは営業成績は部内トップでお客様との関係を構築するのが得意です。人懐こい笑顔と、初対面でも気軽に話せてしまう雰囲気が持ち味です。その笑顔で相手の懐に入るのが上手で、営業成績はいつもトップです。Canの欄には「営業成績トップ、コミュニケーション能力高い」と記載します。

思いつかない時などは下記のような診断ツールを使うのも良いでしょう。

VIA Character Strengths Survey & Character Reports | VIA Institute

Must:自分だけでなく、同僚や上司の意見を取り入れる

田中さんの上司は、田中さんにはそろそろ後輩の育成にも力を注いでほしい年次になってきたと考えています。営業成績はトップなのですが、一匹狼的なところがあって、今後出世していくためには後輩の育成や、チームをまとめるリーダーシップを身に付けて欲しいと期待しています。Mustの欄に「チーム内でのリーダーシップ、後輩の育成、会社全体の業績への期待」と記載します。

紹介したWill Can Mustを表にすると下記の通りになります。

Will人脈作り、営業力強化、将来会社を立ち上げる
Can営業成績トップ、コミュニケーション能力高い
Mustチーム内でのリーダーシップ、後輩の育成

このように、目標設定を行う場合は今後の課題や時間軸の要素も考慮に入れて、具体的な目標として落とし込んでいくことになります。田中さんのケースだと、WillとCanは概ねマッチしていますが、Mustとのギャップがありますので、後輩の育成やリーダーシップをもって業務に取り組むことが課題となってきます。

まとめ

本記事ではWill Can Mustのフレームワークの使い方について解説しました。ポイントは以下の3つです

  • 自己分析を3つの視点から行う
  • 欠けていたもの、伸ばしたいものに着目し、今後の目標を立てる
  • 目標は具体的なものを設定する

Will、Can、Must3つの要素はそれぞれが独立しているのではなく、相互に関連しています。自分のキャリアを考える際のヒントとして、これら3つの視点から考えることで自己理解が深まり、より良い選択、より良い人生を送ることができるようになるでしょう。

VUCAの時代(※)と言われて久しいですが、常日頃から自分のキャリアを考えることは今後ますます大切になっていくでしょう。

(※)VUCAとはVolatility(変動制)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語で、「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を意味する言葉です。

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